フラワーギフト

2008年暮れる 

2008年4月の桜満開の頃から始めた、のんびりゆっくりほっと物語。
一日一写真。

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「2008年暮れる」

わずか6.4キロの銚子電鉄。
その中に、様々な風景をフレームに納めてきた。

朝の一番電車。

夏の陽射し。

夕暮れ時。

夜の世界。

その時々で、違った表情を見せる、銚子電鉄。
この風景が、10年、20年と過ぎたとき、
同じ表情は見せていないだろう。

2008年の今しかない風景は、今日で暮れる。

そして、2009年。
その時しかない、銚子電鉄の風景をフレームに納めて行きたい。

一日一写真、銚子の表情をのんびりゆっくり。

  
2008年の「のんびりゆっくりほっと物語」は、犬吠駅前の夕日で暮れていきます。

ご覧頂きありがとうございました。
2009年もよろしくお願いします。

ピンクのメルヘン  [Continue Art Project in 銚子] 

観音駅の天井を見上げたら、そこにメルヘン。
ピンクの空気に、ピンクのメルヘンが詰まっている。

作者 中村琢磨  作品名 『骨皮筋右衛門』


「ピンクのメルヘン」

空気に色は付かないけれど、ピンクの風船の中だけは色が付く。
ピンクの空気に、ピンクのメルヘン。

ふんわり乗った柱の上に、メルヘンの世界を造っている。
どんな物語が詰まっている。

一つ、二つ、三つ、四つ。

それぞれにみんな違うメルヘンが詰まっている。
観音駅の天井には、ピンクのメルヘンがいっぱいある。


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君ヶ浜屏風図 [Continue Art Project in 銚子] 

君ヶ浜駅前に、対の屏風絵が立つ。
直線を多用した、スクエアな絵。


作者 田中健吾  作品名『landscape』


「君ヶ浜屏風図」

君ヶ浜駅前に立つその屏風図を見ている。
右か左か、上か下か。

そんな現実は、一切気にすることなく、ここに存在する。
君ヶ浜駅の風景になじみながら、存在していた。

太陽の光を受け、風を受けて。

この屏風の先には、太平洋の波が打ち寄せている。
波と屏風図が重なるとき、存在感が現実になる。


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昔日 [Continue Art Project in 銚子]  

かつては、海鹿島駅にも駅員が在中していた時代がある。
その時のまま、時間が止まったような駅員室に灯りが灯る。


作者 本山ひろ子  作品名 『アメフラシ』


「昔日」

もう、駅員が在中することもなくなった、窓口。
そこに、金属の鈍い光を反射して、一匹のアメフラシ。

いつの日からここに座っているのか。
いつの日まで、ここに座っているんだろうか。

駅舎の脇に、こんな物語が書かれていた。


「海鹿島(あしかじま)

むかしむかし、おおむかし
ここにはひろいひろい大地が広がっていました。
川も無い、海も無い。あまりにカラカラで、人は天に祈る日々をおくっていました。
それでも水がやってこないので、皆あきらめて、他の場所に行こうかと相談していました。
西のほうで、神様がその噂を聞きつけ、鹿を使いにやりました。
鹿は神様に言われた通り毎日祈り、天に供え、そしてまた祈りつづけました。
毎日毎日祈り、もうくたくたになって、それてもがんばって鹿は祈り続けました。
皆あきらめて、まわりにはもうだれもいません。
ちょっとあきらめて何日か。またがんばって何日か。
鹿はいったいなんのために雨を待っているのか、わからなくなってしまいました。
だって、ずいぶん長い間ひとりぽっち。もう、どれくらいの日が経ったのでしょう。
しまいに鹿は眠ってしまいました。

ざざー。ざざー。
音で鹿は目をさましました。

ざざー。ざざー。
水の音のようです。空を見上げると、そこには青く澄んだ空か広がり、
太陽がさんさんと降り注いでいます。

ざざ−。ざざ−。
水の音は前の方から聞こえてきます。
鹿は音のするほうに走ろうとしました。しかし、なかなか思うように体が動きません。
のそり、のそり。
ようやく水の場所にたどり着くと、そこには大きな大きな水たまりがひろがっています。
大喜びした鹿はそこに入っていきました。
なんてことでしよう。さっきまで動かなかった休が、
まるで鳥になったように軽々と水の中を走り抜けます。

なんだか美味しそうな食べ物もたくさんあります。ちょっと塩辛いけど、まぁまぁいけるみたい。
あまりに待ったせいで、鹿の体はとろとろに溶けてしまっていたのです。
体の模様はそのままですが、形はなんだかずいぶんちがうみたい。
好みもかわってカラカラの鹿せんべいより、ちょっとしっとりしたせんべいの方が口に合うようです。
休の形の変わった鹿は、海鹿と呼ばれるようになりました。

この場所を気に入った海鹿は、西に帰ることをやめ、いまでもこの場所で楽しく暮らしております。


千葉県銚子市」


海鹿島駅、昔日の思い。


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11番目の駅 [Continue Art Project in 銚子] 

外川の先に、もう一つ駅が出現する。
しかし、この駅に停まる電車は来ない。


作者 豊福亮  作品名 『停まらない電車を待つ駅』


「11番目の駅」

小さな駅舎に、待つ人の姿はない。
待合室には小さな椅子。

天井には、シャンデリア。
停まった時計。

風見鶏。

この駅の名前を知っている者は居ない。

この駅で電車を待っていても、永遠に来ることはない。
それでも、いつか停まらない電車が来るような気がする、小さな駅舎。


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対屏風の図 [Continue Art Project in 銚子] 

君ヶ浜の駅に降り立つと、対の屏風が出迎える。
西日を浴びて、その影が駅前を埋め尽くす。


作者 田中健吾  作品名『landscape』


「対屏風の図」

君ヶ浜のホームから屏風絵を見下ろせば、その絵が語りかけてくる。
直線で描かれるものは何だろう。

見る人によって、様々にとらえることの出来る、直線の交わり。

無で見る直線からは、銚子の風景がわき出てくる。
海、空、屏風ヶ浦、船。

君ヶ浜駅のホームが打ち寄せる海の波に見えてくる。
直線に打ち寄せる、半円の波模様。

その模様も、四角い直線のブロックで出来ている。

円と直線、直線が円になり、円は直線に分解する。
分解した直線が、再び集まって、一対の屏風絵になった。


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語り部 [Continue Art Project in 銚子] 

本銚子駅舎いっぱいに、輝く顔。
駅の風景を顔全面に映して存在している。


作者 小坂部尚吾  題名 『mask』 


「語り部」

額の天井。
顎のホーム。
右頬の緑。
左頬の壁。

本銚子駅の全てが、顔に凝縮される。

そこに、暗黒の目、鼻、口が存在している。
黒い目は何を見ているのか。
黒い鼻は、どんな香りを嗅いでいるのか。
黒い口は、どんな物語を語るのか。

本銚子駅の語り部に、耳を傾けたい。


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風の通り道 [Continue Art Project in 銚子] 

犬吠駅に吹く風を感じる。
南の風、風力2。


作者 高宮宙志  作品名 『犬吠駅プロジェクト08』


「風の通り道」

今日は、12月なのに暖かい南の風。
そんな風を、感じられる犬吠の駅。

見えない風が、風車を回す。
回る風車で、犬吠の風が見えてくる。

空の風。
地上の風。

窓を開けた電車の車内にも、
同じ犬吠の風が吹き抜けた。


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幸せ色の旅立ち [Continue Art Project in 銚子] 

旅立つ電車に旗を振る。
幸せ色が応援する。

作者 佐々木たくめい  作品名 『Yellow Plat Home』


「幸せ色の旅立ち」

電車に乗る人の旅立ちを、応援している。
ゆっくりと西海鹿島のホームを離れる801の灯り。

一生懸命、一所懸命。

電車に乗る人が居るから、旗を振る。
幸せ色の旗を振る。

旗降る人は、どこの人。

旗降る人は、銚子の風。
人の目には見えないけれど、
一生懸命、一所懸命、旗を振る。

幸せになれよって風が振る。


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夜の幸せ [Continue Art Project in 銚子] 

街の外灯と、駅舎の灯りに浮かぶ幸せ色。
揺れる黄色に心を合わせて、揺れる手持ちで幸せ気分。

作者 佐々木たくめい  作品名 『Yellow Plat Home』


「夜の幸せ」

夜の黄色は、ちょっとくすんだ黄色。
それでも、気分は良い気分。

一晩中揺れる黄色を見ていても、飽きることなく居られそう。

布が揺れ方、みんな違う。
幸せ気分も人の数だけ、みんな違う。

西海鹿島駅は幸せ色。


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幸せ色の駅 [Continue Art Project in 銚子] 

「Continue Art Project in銚子」開催中。
西海鹿島の駅が黄色になる。

作者 佐々木たくめい  作品名 『Yellow Plat Home』


「幸せ色の駅」

黄色の布で埋め尽くされる。

菜の花の黄色が風に揺れている。
冬の日が、春の日になっている今。

風も暖かく、本当に小春日和の一日。

青い空と菜の花の黄色。

そして、幸せ色の黄色。


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Continue Art Project in銚子 

銚子電鉄がアートになる。コンティニュー・アート・プロジェクト。
12月20日〜28日の9日間、銚子電鉄沿線で何かが起こる。

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「チラシ 表」

12人の作家が、銚子電鉄を舞台に作品を展開する。

渥美雅史
高宮宙志
中村琢磨
伊藤将和
田中健吾
村上真之介
小阪部尚吾
豊福 亮
本山ひろ子
佐々木たくめい
長増恵理子
Marie de Weil

それぞれの個性ある作品を銚電沿線に展開する。

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「チラシ 裏」

鉄道と現代アートのコラボレーション。
いつもの銚子電鉄の風景が、いつもと違う風景になる。

どんな景色になるんだろう。

明日から始まる、Continue Art Project in銚子の風景をフレームに納めて見たい。

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展覧会概要

会期 2008年12月20日(土)〜28日(日)
開催時間 11:00-16:00
会場 銚子電気鉄道構内
入場料 銚子電鉄の切符が入場券となります
主催 Continue Art Project 実行委員

24・25日
外川駅のキャンドルの光アート

■同時開催
犬吠駅2階ホール
「鉄道写真展」

■展示会場スタンプラリー
各展示会場に設置されたスタンプ12個をすべて集めた方、
先着50名にContinue Art Projectオリジナル手ぬぐいをプレゼント

●Continue Art Project ホームページ
http://www.jungyo.net/

●朝日新聞WEB紹介記事
http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000812190001




白いタイル [大多喜大屋旅館] 

大正時代から営業している、千葉県大多喜の大屋旅館。
洗面所の白いタイルと、水色のカラーがモダンな雰囲気を作っている。


「白いタイル[大多喜大屋旅館]」

大屋旅館は、先日の鉄道茶論の会場になった所。

大広間まで行く間の、廊下の脇道。
木の引き戸に、昔の手作り板ガラスが入っている。

そこに映る景色は、少しゆがんで見える。
引き戸の向こうは、大きなマットから浴場なのかも知れない。

その横に白い四角いタイルで囲われた、大きな流し。
どこか懐かしい、ほっとする景色になっている。

大屋旅館のすべてが、レトロとモダンの空間を作っている。

いつか一夜を過ごして見たい。

光跡 

仲ノ町駅構内を横切る光の道。
サーチライトのように、行く先を照らす。


「光跡」

二本のレールの上を、二本の光の道が走る。
この道を通って行った人が居る。

光のスピードに乗って、1秒間に地球を7周半。
銚子電鉄の6.4キロなんて、ほんの一瞬の距離でしかない。

それでも、二本のレールの上をきちんと走って行った。

今はどこを走っているんだろう。
アメリカ、アフリカ、南極、それとも南太平洋の海の上。

そう思いめぐらせている内に、ほらまた目の前を通り過ぎて行った。

青い重連入線 

仲ノ町のホームに2連が到着。
ツアー団体のお客を乗せて、仲ノ町のホームに滑り込む。


「青い重連入線」

青い色が空気を切って、仲ノ町のホームに滑り込む。
ガタゴトガタゴト、ゴットンゴトゴト、仲ノ町のホームに滑り込む。

仲ノ町のホームに滑り込んだ2連のドアが開く。
ガタガタ、ガラガラ、ドアが開く。

静かだった仲ノ町のホームに、人のざわめきが流れ込んで来た。
ザワザワ、ガヤガヤ、流れ込む。


秋桜の頃 

今の時期、沿線の花たちは姿を消してしまった。
花の命は短くても、一枚の写真の中では永遠に咲きつづけている。


「秋桜の頃」

ピンクの秋桜が咲く仲ノ町の駅。
側線に止まる、デハ801の赤をバックに花の色も冴える。

風も無く、穏やかに咲く秋桜が暖かさを伝えてくれる。

犬吠の碧 

気持ちの良すぎる、碧い犬吠の空。
その空を仰ぎ見るのは、犬吠駅舎。


「犬吠の碧」

堂々とした駅舎は、関東の駅100選に選ばれたほど。

今は、壁面のタイルが剥がれて、痛々しさが見えてきた。

犬吠の玄関口にふさわしい、凛々しき姿に戻って欲しい。
いずれは修理されることを願って止まない。

照らす路 

レールを照らし、ホームを照らす。
ヘッドライトの灯りが行く先を照らす。


「照らす路」

二本のレールは、踏切を越えてホームに続く。
そのレールを浮かび上がらせながら、ヘッドライトが輝いている。

そして、ホームの人も明るく照らし、
電車を待つ人の気持ちをほっとさせる。

お伽話 

電車が出発して、静かになった犬吠駅のホーム。
行く人を見送るように、イルミネーションが輝いている。


「お伽話」

色とりどりの明かりが、2本のレールに反射する。
レールも一緒に飾り付けをしたような、艶やかな夜。

白いランプは雪の色。
赤いランプは昼の太陽。
青いランプは月の光。

銀色のレールも今だけ、大自然の色と一緒になれる。

イルミネーション 

犬吠駅のイルミネーション。
ホームの壁と、広場に赤青白のランプが灯る。


「イルミネーション」

いつもの犬吠駅がひときわ明るくなる。
点滅を繰り返すランプが、駅の存在感を大きくする。

電車の窓にも明かりが反射して、
クリスマスのデコレーションをしたように見える。

そして、犬吠駅を出発した電車の窓から、
もう一つのイルミネーションが目に飛び込んで来る。

イルミネーションは2月まで開催中。

しずかなかのちょう 

団体業務を終了して、仲ノ町駅側線へ移動し始めた702。
本線を銚子側のポイントまでゆっくり動いて行く。


「しずかなかのちょう」

静かに、静けさに、団体の喧噪も今は静かに。
釣り掛モーターの音も今は静かに。

ホームにも人の影は無く、静かな時。

そんな静かな中を、702が移動して行く。
ゆっくり、ゆっくり、そして静かに。

犬吠夜景 

まだそれほど遅い時間ではないが、冬の夜は訪れが早い。
電車レストランから漏れる明かりが、地面を照らす。


「犬吠夜景」

駅舎の明かりと、レストランの明かり。
お客さんの途絶えた犬吠駅は、まもなく終業となる。

室内では、後かたづけに忙しく動き回っている。

これらの明かりが消えると、冬の寒さがじわりと染みてくる。
体が冷える前にわが家に帰ろう。

紅 

一日の終わり。
紅に染まる西の空を見る。


「紅」

人の活動も太陽の沈む早さに合わせて、終わりの支度をはじめる。
釣り人、散歩、写真を撮る人。

暗くなる前の、わずかな時間の余韻を楽しみながら、
今日の日を終わろうとしている。

と、太陽を見ている内に、あっという間に沈んでしまった。
空の紅は、濃い蒼へと変わって行く。

そして、黒い空に星が瞬き始めた。

終業時刻 

午後5時。
犬吠駅の業務が終了する。


「業務終了」

今の時期は、午後の5時はすっかり日が落ちている。
一日の報告をして、窓口の明かりを消す。

夜は無人になる犬吠駅。
昼の喧噪も途絶えて、終電まで静かな時間が過ぎる。

冬の夜は、駅舎の明かりが暖かい。

白い花 

電車が来るのを待ちわびて。
今度来る電車は、赤い電車、青い電車。


「白い花」

電車の窓から、私が見えるかな。
電車が来たら、思いっきり手を振りたい。

小さな私が見えるかな。
たくさんの中の小さな私。

それでも、一生懸命手を振りたい。


スローフレーム 

カメラのシャッターをゆっくりにする。
フレームの中は、しばしの闇になる。


「スローフレーム」

ゆっくりなシャッター時間の間に映るものは、
激しい時間の流れ。

時間の動き。
景色の流れ。

801の乗客の息づかい。
運転士の緊張感。

スローフレームの中に、生きている人が居る。

記憶の中に 

ちょっと前の、鹿嶋鉄道が元気だった頃の写真。
小川駅で一緒に降りた、おばあさん。

かしてつ 065
「記憶の中に」

去りゆく列車に向けてカメラを向け始めた。

たまたま、記念に写真を撮っているんだろうと思っていたら、
駅舎の待合室に佇んでしまった。

どこに行く様子もなく、
ただ、待合室のベンチに座っていた。

鹿嶋鉄道を記憶に留めるように。

そして、バックから2つのおにぎりを取り出して、
美味しそうに食べ始めた。

鹿嶋鉄道で最後の遠足を楽しんでいる様。

そのまま、上り石岡行きが来るまで、待合室に座っていたおばあさん。

きっと、いつも鹿嶋鉄道を利用して、病院や買い物に出かけていたのかも知れない。

そんな、いつもの生活から、鹿嶋鉄道は消えている。
今は、記憶の中の線路には、いつもの列車が走っているんだろう。

刻 

あと数時間後には眠りに付く、銚子電鉄の車両。
パンタも降ろして、眠りの前の余韻を楽しんでいる。


「刻」

工場のタンクは、眠るのだろうか。
仲ノ町駅の明かりが消えるまでは、
その眩しさに目を閉じれない。

と、ここは写真のマジックで、実際はもっと暗い場所。
長時間露光の末に、この明るさになる。

空の星もわずかに流れ、過ぎゆく時間が見えてくる。

その時間も、銚子電鉄85年の流れには、ほんの一瞬でしかない。
1秒、10秒、30秒、1分、30分、1時間。

時間の流れの積み重ねが、歴史になる。

記憶 

手前にデハ301の古き車体。
その向こうに止まる電車は、デハ701。


「記憶」

デハ701の車体には無くなったデカール。
ある日の記憶。

このデカールを付けて走っていたのは、何年間だったのだろう。
銚子電鉄のイメージ作りに、ある時から付けていた。

もう、昔の記憶。
忘れていい記憶。

このデハ301が消えたとき、
あの記憶も消えるのかも知れない。

仲ノ町残照 

今ここにいた電車が、光の粒子になって飛んでいった。
白い光と、赤い光。


「仲ノ町残照」

窓の四角い形を、空中に残して目の前の電車は飛んでいった。
赤いテールも、赤い光のラインになった。

夜の仲ノ町に人影もなく、
光のラインが残るのみ。

光になった電車の後には、ホームを照らす光がより白く輝きだした。

そして、駅の光も粒子になって、目の前から飛んで行きそうだった。

赤い星 

空に三日月輝いて、地上にも赤い星が輝いた。
水星、木星、金星、土星。


「赤い星」

地上に輝く赤い星は、何て名前の星なんだろう。
すぐ目の前で光っている、手を伸ばしたら届きそう。

ほんとに手を伸ばしたら、ほら、赤い星に触れたよ。

小さな小さな赤い星。
ルビーの様な赤い星。

801の後ろで光ってる。