フラワーギフト

守り 

かつては、レールとしてどこかに横たわっていたんだろう。
レールが守る、踏切の道。


「守り」

使い古されたレールが、役目を変えて守り役として、
踏切に横たわる。

ゼブラ塗装を施されて、踏切の入口を守り抜く。
レールの存在感が、踏切の入口を鮮明にする。

重い車体を支えて鍛えている。
柔な車が飛び込んできても、ここで食い止める。

そんな覚悟を決めて、踏切の入口に居続ける。
どんなに錆びても、朽ちることは無いだろう。

レールの頼りがいのある守りが、
これからもここに居続ける。

ポイント 

走る電車の行く先を決めるポイント。
笠上黒生駅の上りと下りのすれ違い。


「ポイント」

銚子電鉄の線路で、一番重要なポイントがここにある。
笠上黒生駅の前後のポイント。

外川行きと銚子行きが、毎日すれ違う為の大切な場所。
30分置きに、ガタンガタンと通り過ぎて行く。

老兵の居た場所 

この線路の上には、かつてボロボロになった老兵が居た。
朽ち果てるまで居続けるのかと、語りかけながら。


「老兵の居た場所」

外観は、電車の形をしていたが、
すでに電車では無くなりかけていた。

窓ガラスは割れて、ドアもなく、
外装も腐り果て、崩れるのを待つだけだった。

その最後まで見届けようと、
ここに通っていたが、その日が来る前に、
老兵の姿は消え去った。

その影だけを残して、形を消してしまった。
ここに居た老兵、デハ101。

しかし、辛うじてその珍しさから、
台車だけは、上毛電鉄と東武博物館で会うことが出来る。

リンク>東武博物館

リンク>上毛電気鉄道

時間の境目 

過去の時間を出発したデハ801が、
現在の時間へ吸い込まれて行く。


「時間の境目」

緑の向こうは、今の時間が流れている。
外川の駅に流れる時間は、ゆっくり流れる。

2本の線路が時間を繋ぐ。
駅を出発した電車は、
ゆっくりと現在の時間に巻き戻される。

のんびりゆっくりと、
時間の流れが戻って行く。

その流れを乱すことなく、
デハ801は時間の向こうへ走って行く。

同郷 

デハ801の顔の向こうに、同郷の顔がある。
お互い伊予の国を故郷に持つ。


「同郷」

デハ801は、伊予で顔を合わせたことは無いけれど、
同じ国の匂いに包まれて、懐かしく故郷を思う。

お互い故郷に帰ることはない。
ここ、銚子の地を最後まで走り通す。

デハ801の走り抜ける時間はあとわずか。
その後を、伊予からの新顔が銚子の顔になって、
潮風の中を走り始める。

静かな夜 

駅舎の明かりが眩しい、笠上黒生の夜。
何年も佇む木の建物が浮かび上がっていた。


「静かな夜」

古くなるほど、存在感を増してくる木造の駅。
夜に訪れると、尚更存在感に艶が掛かる。

人の気配は、闇の中に消し去っても、
自販機の明かりがその営みを忘れさせない。

この駅で、夜が深まるのを待っていたい。
やって来る電車を眺めていたい。

そんな気にもさせてくれる、
笠上黒生駅の小さな夜の一時。

朝の駅 

朝の光が駅舎内に差してきて、
ひときわ明るくなった。


「朝の駅」

やって来る人のために、朝日がベンチを暖める。
冬の冷たい朝に、温もりのプレゼント。

ベンチに座って電車が来るまでホッとする。
ぬくぬく、ぽかぽかほっとする。

座る人は、仕事へ行く一時だろうか、
それとも旅が始まる朝だろうか。

空の太陽が今日の一日を応援する。

ウインク 

うっすらと夕陽色に染めて、
沈む太陽にウインクをする。


「ウインク」

今日も一日ありがとう。
また明日もよろしく。

そんなサインを太陽に贈っている。
雨が降るとびしょびしょに濡れて、
風の強い日は、必至に絶える。

それでも、真っ赤な夕陽が顔を出すと、
気持ちがほっと明るくなる。

踏切から見える夕陽は、独り占め。
明日もきれいな夕陽を見たい。

デハ801の形 

今時の電車には無い、無骨な横顔。
無骨だけど生きてる強さがある、デハ801。


「デハ801の形」

コンピュータが描く流線型はどもにも無い、直線のデザイン。
人の手で作り上げられた形に、朝の陽射しが陰影を付ける。

その影が尚更無骨さを際だたせ、
その形に人間臭さを感じさせてくれる。

むき出しのコードが味を出し、
ボルトの形も手作り感を醸し出す。

この形で、時代を走り抜け、
この形で、今を走る。

小さな先輩 

先輩!よろしくお願いします。
伊予から来た車輌が、デキ3に挨拶する。


「小さな先輩」

伊予鉄の車輌は、これから本線で活躍する新人。
その整備を見守るように、デキ3が見つめている。

デキ3は現役を退いているけど、
銚子電鉄の顔として、仲ノ町駅から現役を応援する。

小さな先輩の存在が、
これから走り始める新人に心強い。

整備が終わるまでに、
銚子電鉄の思いを先輩から伝授して貰おう。